国債9500億ユーロと、ただ一点においてブレない漢メルツ!

今回も川口マーン恵美さんのラジオの抜粋をお伝えします。

2月に行われたドイツ総選挙のその後の様子です。

前半の部分は、前回の内容と被ります。

 

記録的な投票率と選挙結果

 

今回の総選挙では 82.5% という高い投票率を記録し、国民の関心の高さがうかがえた。

選挙結果は簡単に以下の通り。

  • CDU/CSU(中道右派) 28.5%(1位)
  • AfD(メディアでは極右とされる) 20.8%(2位)
  • SPD(あと数日は現与党・中道左派) 16.4%(3位)
  • Grüne(緑の党・左派)11.6%(4位)

 

 

メルツの「国境封鎖」発言とその撤回

 

選挙前、CDUのメルツ党首は

「首相になったらその日から、身分証明書のない者は一人たりとも入国させない」と強調。

選挙戦では移民政策が大きな争点となったが、

選挙後すぐにメルツは

「だれも国境を閉めたいとは思っていない」

と発言を修正した。

なお、SPDGrüneは難民受け入れをいまだ推進中。

 

 

 

もう一つの前言撤回 「Schuldenpaket」新たな国債発行

 

  • SPDGrüne:国債発行を主張
  • CDUメルツ:選挙前は「国債は発行しない」と明言

しかし、メルツは 選挙後に前言撤回9,500億ユーロ(約150兆円)の新規国債発行 を計画発表。

  • インフラ整備:約 5,000億ユーロ
  • 国防費:約 4,500億ユーロ

 

ドイツは基本法(憲法に相当)で国債の発行がGDPの0.35%を超えてはいけないという決まりがある。

9500億ユーロの巨額な国債発行をするためには憲法改正が必要だが、

憲法改正には議会の3分の2の賛成が必要。

しかし、先日の選挙結果ではCDU・SPD・Grüneを合わせても、3分の2には達しない。

 


~メルツ心の声~

(ここは私のアドリブ笑い泣き

 

僕はSPDGrüneと連立を組めなければ、首相にはなれないんだよ。

SPDGrüneにすり寄らなくては!

よしっ!「国債発行しよっ♡」て言ってみよう。

あと数日で終わるけど今の議会なら、

Grüneも入れれば3分の2獲得できるし、

憲法改正して、新規国債発行もできるかも!?

あっ、もっといいこと思いついちゃった!

 

これで憲法改正賛成多数にできれば

ついに首相になれる~ニヤニヤ音譜


と思ったかどうかは知りませんが、

さらに

そのうち1000億ユーロをGrüneの気候対策に充ててもいいよと約束した。

 

今の議会の中には、次の議会では席のない人もいるのに、これほど大きな借金をすることに投票するなんて、無責任ではないか。

 

 

 

トランプ・ゼレンスキーの決裂が新規国債発行の理由づけ

 

メルツが巨額の国債発行の表向きの理由に持ち出したのが、

ホワイトハウスでのトランプ・ゼレンスキーの決裂会見


「トランプはヨーロッパを守る気がない

 → ロシアがヨーロッパに攻め込んでくる!

 → NATOは独自の防衛力を強化すべき

 → ドイツにとっても緊急事態

 → 新規国債発行してはいけないなんて言っている場合じゃあない!」

というロジック。

ホワイトハウスでの出来事は選挙後に起きたことだから、自分は方向転換をしなくてはいけなくなったんだと、トランプとプーチンのせいにしちゃったヨ。

 

 

CDUとAfDの関係、そして連立の行方

 

メルツは選挙前から

AfDとは絶対に連立しない」と宣言している。

そうなると、先日の選挙結果から

CDUは SPDGrüneと連立を組むしかなくなる。

この連立が成功しなければ、メルツは首相になることができないから、

どんな妥協をしてもこの連立にかじりつこうとすることは、

国民はみんなわかっていたはず。

今になってCDUに「裏切られた、だまされて投票した」と言っているけれど、

それってどうなのかしら?

メディアにAfDは極右だと刷り込まれ、

AfDに投票するなんて悪いことだと素直に思って投票してしまったのかな。

 

 

今後の展開と懸念

 

  • 3月18日 に憲法改正の是非が決まる
  • 可決されれば国債発行、否決されればCDUとSPDの連立が困難に
  • CDUがAfDと連立しない限り、SPDGrüne・左派党の左派政権が誕生する可能性も

もし憲法改正できないとなると、

新たな国債発行ができず

だれが首相になっても貧乏な政権には変わりない。

そうなったら、SPD(国債発行賛成派)はCDUと組むメリットなどない。

CDUメルツはAfDとは組まないと言っているから、独りぼっち。

SPDGrüneと左派党が組むとこちらの方が多数派となるので、

左派政権ができてしまう可能性もある。

と、ここまでが川口さんの抜粋です。

 

 

3月18日議員投票の結果、憲法改正が可決されました。つまり国債発行可能になる見込みですが、次は連邦参議院での承認が必要となります。まだすべて決定したというわけではなさそうです。

メルツはまるで国民のお金で首相の座を買っているようです。

そんな彼もAfDとは連立は組まないという一点では決してブレません。

 

議会の様子を見ていると、AfDのアリス女史が演説しているときの他党の人たちは、彼女の声も姿も聞こえない、見えないとばかりに、スマホを見ていたり、ずっと無表情でまるで罰ゲームです。

メルツは、位置的に演説しているアリスヴァイデルの目の前の席なんです笑。

ぜったいに顔をあげられませんの。

書類に一生懸命マーカーひいてました。

試験勉強でもしているのかな。

でもアリス女史に名指しされると、ちょっぴり反応してしまってかわいいじゃない。

 

「Geben Sie auf, Kanzler werden zu wollen, denn Sie können es nicht. In diesem Punkt hatte Angela Merkel recht.」

「あなたは首相になろうとするのを諦めなさい、なれないのだから。この点においてはアンゲラ・メルケルは正しかったわ。」

この点→同じCDUのアンゲラメルケルは、メルツ憎しで、メルツが彼女の後継の党首になることに反対だった。

 

「Herr Merz, Sie haben keine Prinzipien und keine Werte. 」

「メルツ氏、あなたには信念も価値観もありませんね。」

 

 

日本のように自国通貨を発行できる国と、ユーロ圏では事情は異なるのでしょうか。

メルツの意見がコロコロ変わることにはちょっと・・・と思いますが、財源は国債だと思っている私には、それほど悪いことのようには思えないのですが。

しかし154兆円超えとなると、日本の年間国家予算(一般会計)と同じかそれ以上の規模とのことで、これだけの金額だとドイツ経済やEU全体への影響もかなり大きくなりそうですね。

何より Schulden 債務・負債という言葉が頻繁にでてくるので、ネガティブなイメージが強いのでしょう。

もっとも日本も、国債発行=国民の借金とされていますから、他国のことは言えません。

私は、日本においてそれは違うという考えです。

 

 

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