投票率 Wahlbeteiligung
まず、投票率の高さに驚きです。82.5%。日本も見習いましょうよ。
以下を見て下さい。ドイツは毎回、投票率が高いのです。

投票で最優先されるテーマ
- 国内の安全 18%
- 社会保障 18%
- 移民政策 15%
- 経済成長 15%
- 環境 13%
- 平和の確保 13%
- 物価高騰 5%
暫定結果 Vorläufiges Ergebnis
- UNION= CDU + CSU
キリスト教民主・社会同盟(保守派)- CDUにはフリードリヒ・メルツが所属。
- 前ドイツ首相のアンゲラ・メルケルもかつて所属。
各政党の得票率
票の増減率
獲得議席数
Quelle: tagesschau.de
各政党の得票率 & 議席数
- UNION(CDU+CSU) 28.5% (第一党)
- AfD(ドイツのための選択肢) 20.8% (第二党 / 152議席)
- SPD(社会民主党) 16.4% (過去最低)
AfDは前回の83議席から大幅に議席を増やし、152議席を獲得。まさに倍増です。
一方、SPD(オラフ・ショルツ首相の政党)は16.4%と歴史的低迷。議席も減少しました。
この結果、旧西ドイツ地域では伝統的な政党が支持を維持する一方、旧東ドイツではAfDが圧倒的に強い。東西の違いがより鮮明になりました。
Zweitstimmen(第二票)とAfDの西側での初躍進
Zweitstimmenとは、政党に対する投票のこと。
西ドイツではAfDが勝利した場所はほとんどないですが、地図の左下を見ると真っ黒の中にぽつんと青いエリアが。
そこではAfDがリードしました。
Quelle: NiUS
CDUメルツ氏さっそくびっくり発言
選挙直前、CDUはAfDと組んで移民政策の厳格化を進めようとしました。しかしこれは否決されましたが、一部のAfDに投票することを躊躇している有権者にとって「CDUが本気で移民政策を変えるつもりならCDUに投票しよう。」と思ったかもしれません。
1月25日には「フリードリヒ・メルツは国境を封鎖しようとしている。」と報道されていましたから。
これで本来ならAfDに入るはずだった票が、CDUに流れたと見る人もいます。
しかし!移民政策はメルツのパフォーマンスなのでは?という見方も。
そして、その予感が的中。
2月24日、メルツはこう発言しました。
„Niemand von uns will die Grenzen schließen.“
「私たち(CDU)の誰も国境を閉鎖したいとは思っていない。」 Quelle: NiUS
„Ich will auch noch einmal sehr deutlich sagen: Niemand von uns spricht über Grenzschließungen. Obwohl das im Wahlkampf streckenweise behauptet worden ist. Niemand von uns will die Grenzen schließen.“ Quelle: NiUS
「もう一度はっきり言いますが、私たちの誰も国境封鎖について語っていません。選挙戦では一部でそのように主張されましたが、私たちの誰も国境を閉じたいとは思っていません。」
この発言により、メルツは選挙戦で強調していた移民政策の厳格化を早々に放棄したと批判されています。
期待して投票した保守派をさっそく裏切ったといえるでしょう。
CDUはどこと連立するのか
例によって、CDUはAfDとの連立を拒否。
SPD(社会民主党)との交渉を模索しているようです。
しかし、AfDは「CDUさん、私たちと組みましょうよ?」と手を差し伸べています。
それに対してメルツは「手を伸ばしたいならずっと伸ばしてれば?」と皮肉交じりに応じる始末(笑)。
一方、AfDのアリス・ヴァイデルはこう返しました。
「CDUの政策って、うちのパクリだから、妥協する必要ないわ。」 Tagesschau
結局変わらない
有権者は治安や移民問題を最優先に投票を行いました。
しかし、選挙翌日にメルツの「国境封鎖はしません。」発言。
投票した人たちは、今どんな気持ちなのでしょうか…?
この選挙、何かが大きく変わるかと思いましたが、結局、同じような光景が続くのかもしれません。
メルツの発言は、CDUの支持者だけでなく、移民政策に厳格な姿勢を求めていた有権者にとっても衝撃だったはず。
この発言で「やっぱりAfDに投票すべきだった」と確信を強めた人も多くいる可能性があります。
ドイツは明日の日本かも
AfDは主に若い人に支持されいるようですが、今回の選挙で右傾化を阻止したのは若い女性だったとの分析も見ました。
若い女性が「外国からの労働力は必要」と語っているのを見たことがあります。
メルツもこれまでの路線で行きそうですし、ますます国境は開き、犯罪が増えるのでしょうか。
そして、日本も他人事ではないと思います。
日本でも「選挙のときだけ都合のいいことを言う」のは常套手段です。ドイツでもまったく同じ現象が起きていることがわかります。
安易な受け入れ拡大は、治安や社会保障にどのような影響を及ぼすのか、ドイツの例を見れば明らかです。